こんにちは、絵描きの榊幹恵です。
今回は服や布についてしまった絵具の落とし方について解説していきます(^^)
お子さんの図工の時間や、趣味のアクリル画を楽しんでいる最中に、
うっかりお気に入りの服にアクリル絵の具がついてしまった経験はありませんか。
アクリル絵の具は乾くと耐水性の膜になる性質があるため、
時間が経つほど落としにくくなります。
しかし、正しい手順を知っていれば、乾く前はもちろん、
乾いてしまった後でも諦めずに対処できる方法があります。
この記事では、アクリル絵の具が服についた直後の応急処置から、
時間が経って乾いてしまった頑固な汚れの落とし方、
さらに色落ちを防ぐための注意点まで、手順を追って詳しく解説します。
読み終える頃には、いざという時に落ち着いて対応できるようになります。
服についたアクリル絵の具は本当に落とせるのか

「アクリル絵の具は一度つくと絶対に落ちない」
というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、
完全に乾いてしまう前であれば、家庭にあるもので落とせる可能性は十分にあります。
アクリル絵の具の主成分はアクリル樹脂で、
水に溶けている間はまだ繊維の奥深くまで固着していません。
一方で、時間が経過して樹脂が完全に硬化してしまうと、
水や洗剤だけでは落としきれなくなるケースが増えます。
つまり、汚れに気づいた瞬間の対応スピードが、
その後の結果を大きく左右するということです。
アクリル絵の具の性質を知ればコツが見える

水彩絵の具や油性絵の具との違い
絵の具にはいくつかの種類があり、それぞれ性質が異なるため、落とし方も変わってきます。
水彩絵の具は水に溶けやすい性質を持つため、
乾いた後でも水でふやかせば比較的簡単に落とせます。
油性絵の具は油分を含んでおり、専用の溶剤やクレンジングオイルなどの油分を使ってなじませることで落としやすくなります。
アクリル絵の具はこの二つの中間のような性質を持ち、
水で溶いて描きますが、乾くと水に溶けないアクリル樹脂の膜に変化する点が大きな特徴です。
この「乾くと不溶化する」という性質こそが、
アクリル絵の具の落とし方を考えるうえで最も重要なポイントになります。
乾くと落ちにくくなる理由
アクリル絵の具が乾燥すると、
顔料を包み込んでいた樹脂成分が硬化し、繊維に強く密着した膜を作ります。
この膜は水をはじく性質を持つため、
通常の洗濯用洗剤やお湯だけでは分子レベルで分解することが難しくなります。
そのため「乾く前」と「乾いた後」とでは、対処法も使う道具も大きく変える必要があります。
次の章では、この二つのケースに分けて具体的な手順を紹介します。
乾く前ならすぐできる!応急処置の手順
服についたアクリル絵の具に気づいたら、
まず最初にすべきことは「こすらずに水で洗い流す」ことです。
こすってしまうと絵の具が繊維の奥に押し込まれてしまい、
かえって落としにくくなります。
具体的な手順は次の通りです。
- 汚れた部分を裏側から流水で洗い流す
- 台所用中性洗剤を汚れに直接なじませる
- 歯ブラシや指の腹で優しくトントンと叩くように洗う
- 洗剤が落ちるまですすぎ、その後は通常通り洗濯する
このとき大切なのは、生地の表側からではなく裏側から水を当てることです。
裏側から水を通すことで、絵の具を繊維の奥から外側へ押し出すように洗い流せます。
乾いてしまった後のアクリル絵の具の落とし方

用意するもの
時間が経って絵の具が乾いてしまった場合は、以下のアイテムを用意します。
- 除光液(アセトン入りのもの)
- クレンジングオイルまたはメイク落とし用オイル
- 台所用中性洗剤
- 使わなくなった歯ブラシ
- いらないタオルや布
除光液に含まれるアセトンには、硬化したアクリル樹脂の膜を柔らかくする働きがあります。
手順を写真付きで解説
乾いた後のアクリル絵の具は、次の手順で対処します。
- 汚れの下にいらないタオルを敷く
- 除光液を綿棒や布に含ませ、汚れの部分にトントンと軽く叩くようになじませる
- 絵の具が柔らかくなってきたら、歯ブラシで軽くこすり落とす
- クレンジングオイルを塗り込み、さらに絵の具を浮かせる
- 台所用中性洗剤で油分と絵の具をまとめて洗い流す
- 通常通り洗濯機で洗う
下にタオルを敷くのは、
溶け出した絵の具が服の反対側や他の部分に移ってしまうのを防ぐためです。

乾燥した絵具汚れを実際に落としてみます。
我が家にはノンアセトンの除光液しかなかったので、これで落としてみました。
布の下にはタオルとコットンを置いています。
コットンに除光液を馴染ませトントンと軽く叩いて馴染ませます。

固まって水洗いではビクともしなかった絵具汚れが除光液によって溶け始め、
ノンアセトンでも、ここまで薄くなりました。
下に置いていたタオルとコットンに溶けた絵具と除光液が、かなり染み込んでいました。
もし何も敷いていなかったら下の素材に汚れが移動しただけという状況を招いたと思います。
絵具汚れを落とす時には必ず何か敷き、他に色が移るのを防ぎましょう(`・ω・´)ゞ

除光液の後、クレンジングオイルを付けた歯ブラシでこすり、その後せっけんで手もみ洗いをして、乾かしました。完全には落ち切らないけれど、ここまで目立たなくなりました。
素材別・色物の場合の注意点

色落ちしやすい服の見分け方
除光液やクレンジングオイルは効果的な一方で、服の素材や色によっては生地を傷めたり、色落ちを引き起こしたりする可能性があります。
作業を始める前には、必ず服の目立たない部分(裾の裏側や縫い代など)に少量をつけて、変色や色落ちが起きないか確認してください。
特に色の濃いデニムや、レーヨン・アセテートなどのデリケートな素材は色落ちのリスクが高い傾向があります。
やってはいけないNG行動
アクリル絵の具の汚れに対して、以下の行動は避けるべきです。
乾いた絵の具を無理に爪でこすり落とそうとすると、繊維を傷めるだけでなく、絵の具を余計に広げてしまうことがあります。
また、塩素系漂白剤は色柄物には使用できないうえ、アクリル樹脂そのものへの分解効果はほとんど期待できません。
高温のお湯で洗うのも避けてください。
熱によって絵の具の樹脂がさらに硬化し、かえって落としにくくなる場合があります。
手や壁など服以外についた場合の対処法

肌についた場合
手や指についたアクリル絵の具は、乾く前であれば石鹸と流水で洗うだけで比較的簡単に落とせます。
乾いてしまった場合は、オリーブオイルやベビーオイルなどの油分を肌になじませてから洗い流すと、皮膚を傷めずに落とすことができます。
除光液は肌への刺激が強いため、広範囲や皮膚が薄い部分への使用は避けたほうが安全です。
私は一度、除光液で(爪が大丈夫だったのでつい)手に付いた絵具汚れを
落としてみた事があるのですが、数分後かゆみと湿疹があらわれ、
治まるまで数時間かかったので、本当にオススメしません。
壁・床についた場合
壁や床についた場合も、乾く前に湿らせた布で拭き取るのが基本です。
乾いてしまった後は、中性洗剤を薄めた水で湿らせた布を使い、優しく叩くようにして絵の具をふやかしてから拭き取ります。
壁紙の素材によっては水拭きで傷んでしまうこともあるため、目立たない場所で試してから全体に作業を行うようにしてください。
どうしても落ちない時はクリーニングという選択肢
家庭での応急処置を行っても汚れが完全に落ちない場合や、大切な衣類でリスクを避けたい場合は、無理をせずクリーニング店に相談するのも一つの方法です。
プロのクリーニング店では、家庭では扱えない専用の溶剤や技術を使って、繊維を傷めずに汚れへアプローチすることができます。
自己判断で強い薬剤を使い続けて生地を傷めてしまうよりも、早い段階でプロに相談したほうが結果的に衣類を長持ちさせられることもあります。
絵の具汚れを未然に防ぐ工夫
そもそも汚れをつけないための工夫を知っておくことも大切です。
- 制作時は汚れてもよいエプロンや割烹着を着用する
- 汚れてもよい古着を「お絵描き用の服」として決めておく
- 袖に絵具が付きやすい長袖ではなく、半袖や七分袖の服を選ぶ
- 作業スペースに新聞紙やレジャーシートを敷いておく
特に小さなお子さんが絵の具を使う場合は、本人が汚れを気にせず伸び伸びと制作に集中できるよう、大人があらかじめ環境を整えておくことが望ましいといえます。
よくある質問(Q&A)
Q. アクリル絵の具は完全に乾いてから何日経っても落とせますか?
A. 時間が経つほど樹脂の硬化が進むため難易度は上がりますが、除光液やクレンジングオイルを使った方法で、数日から数週間経過した汚れでも改善する可能性はあります。
ただし完全に除去できる保証はないため、大切な衣類は早めの対処をおすすめします。
Q. 除光液を使うと服の色が抜けませんか?
A. アセトンには色を抜く作用があるため、色柄物や化学繊維には注意が必要です。
必ず目立たない部分で試してから使用してください。
Q. 漂白剤でアクリル絵の具は落ちますか?
A. 塩素系・酸素系ともに、アクリル樹脂そのものを分解する効果は限定的です。
色柄物には塩素系漂白剤は使用できないため、基本的にはおすすめできません。
まとめ|落とし方の基本はスピードと正しい手順
アクリル絵の具の落とし方で最も重要なのは、汚れに気づいた瞬間の初期対応です。
乾く前であれば、裏側からの流水と中性洗剤でほとんどの汚れに対応できます。
乾いてしまった場合でも、除光液とクレンジングオイルを使った手順を踏めば、改善できる可能性は十分に残されています。
素材や色によっては色落ちのリスクもあるため、必ず目立たない部分で試してから作業を行ってください。
それでも落ちない場合は、無理をせずクリーニングのプロに相談することも選択肢に入れておきましょう。












