こんにちは。
アクリル絵具でファンタジーな世界観を描いている榊幹恵です。
今回は、つい最近まで同じものだと思っていた
アクリル絵具とアクリルガッシュの違いを書いていこうと思います。
絵を描く時、使っている画材の特徴を知っていると
表現の幅が広がるので良いかと思います。
それまで水彩画を描いていた私は、迫力のあるアクリル画を描いてみたくなり、
画材屋さんに行ってアクリルガッシュのセットを買ってきました。
それから数年後・・・
アクリルガッシュとアクリル絵具は、
似ているけど違うものという事が分かり、
驚きとともに困惑してしまいました。(;゚Д゚)
そして、もう少し早く知っていれば、いろいろ対処できたのに、
という反省が元になって、この記事を書いています。
では、解説していこうと思います。
Contents
~アクリル絵具とアクリルガッシュは何が違うのか。~
絵具というのは、簡単に説明すると
粉末の顔料と糊で出来ています。
水で溶いた色の粉で絵は描けますが、
水が乾くと粉に戻ってしまいます。
絵具が乾いても紙やキャンバスに定着させるために
糊が必要になるわけですね。
アクリル絵具の場合は、その糊にあたるものが
アクリル樹脂になります。
そして、この色の粉と糊の比率が
アクリル絵具とガッシュの違いになります。
この違いを、ざっくり簡単に表しますと
アクリル絵の具 | 顔料+糊(アクリル樹脂) |
アクリルガッシュ | 顔料+糊(アクリル樹脂) |
になります。(太字が多めに入っているものになります。)
アクリル絵具の方は、
糊成分(アクリル樹脂)が多く入っているため
顔料がしっかり貼り付き作品が丈夫で長持ちになり、
アクリルガッシュの方は、
顔料が多く入っているので、下に描いたものを
塗りつぶす事が出来ます。
ミスや汚れも無かったかのように隠す事ができるので、
絵具に慣れてない初期の頃は、とても助けられました。
~アクリルガッシュの特徴とは~
この失敗すらカバーできるアクリルガッシュ。
他にどんな特徴があるかというと、
顔料が多く入っているので色むらがなく、
マット(ツヤ消し)で均一な色を塗る事ができるので、
ポスターやデザイン画で使用される事が多いようです。
マットな仕上がりは、光の反射を抑え
絵を見やすくしてくれるので
ポスターに向いているわけです。
あとは、アクリル絵具より安い事ですね。(笑)
しかし、作品の丈夫さという点では問題が多く、
まず1番は、ひび割れしやすい。
これは糊成分(アクリル樹脂)の比率が少ないから起こります。
そして次に、光に弱く色あせしやすい。
これも糊成分(アクリル樹脂)が少ないから起こります。
ひび割れしやすく、耐光性が低いので、
原画販売や屋外展示は向かないアクリルガッシュですが、
ポスターやデザイン画の場合は、
印刷やコピーまたはデジタルデータに保存など、
原画を保存する必要がないので、
お値段も安いし、
全然こちらでOKだと言えます。
アクリルガッシュの特徴・・・まとめ
という訳で、この章を簡単にまとめると、こうなります。
- 隠ぺい力が高い。下に描いたものを塗りつぶせる。
- マットで色むらなく均一に塗れる
- ポスターやデザイン画に向いている画材
- 耐久性が低いので原画保存には向かない
- アクリル絵具より値段が安く、色の数が豊富
~アクリル絵具の特徴とは~
それでは、アクリル絵具の方はどうかと言いますと、
アクリル絵具はガッシュより糊成分(アクリル樹脂)が多いため
透明感が高く、光沢のある仕上がりになります。
さらに、糊成分(アクリル樹脂)が多いため、
顔料が支持体(紙・キャンバス・パネルなど)にしっかりと貼り付き、
湿度や温度変化の激しい屋外でも展示可能です。
アクリル絵具がダメージに強い理由は?
アクリル絵具がここまで耐久性に優れているのは、
糊成分のアクリル樹脂もそうですが、他にも
- 絵具が腐りにくくなる防腐剤
- 低温で凍らないようにするための凍結剤
- 樹脂と顔料が均一に混ざるようにするための分散剤
- 油絵具のような一定の厚みをつくるための成分
が、入っています。
こうした様々な成分のお陰で
屋外に展示しても腐らず、色褪せず、ひび割れしない
丈夫な作品が作れるわけですね。
こうした理由から、アクリル絵具とアクリルガッシュを比べると
耐久性が高いのはアクリル絵具の方となり、
原画販売を考えている時は、作品として丈夫な仕上がりになる
アクリル絵具を使う方がオススメだと言えます。
~まとめ~
今回は、アクリル絵具とアクリルガッシュの違いについてお話してきました。
実は今日、ハンズに寄ってきたのですが、画材コーナーには
ターナーのアクリルガッシュのみが販売されていました。
やはりガッシュの方が安いし、
アクリル入門みたいな位置づけなんでしょうかね。(;^_^A
私がアクリル絵の具を買いに行って、ガッシュのセットを買った時も、
その種類しかなかったですし。
画家を目指して勉強している私からすれば、
ガッシュで描いた作品が販売に向かないと知った時は、
目が点になるくらい驚いたものです。(◎_◎;)
この記事は私の失敗談から生まれました。
どなたかの参考になれば幸いです。
それでは、今回はこのへんで失礼します。
また次の記事でお会いしましょう。