美しい配色を学ぼう!色彩調和論入門

こんにちは、絵描きの榊幹恵です。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

今回は、前回に引き続き「色彩」
についてお話していきたいと思います。

色彩は、その画家さん特有の持ち味と思っていたのですが、

絵を勉強していくにつれ、

色彩はロジカルなものなので、
センス良く見える色の組合せは
すでに体系的に決まっており、

画家さん達は、その中から、
感性に合うものを選んで制作していくうちに、
自身の持ち味と馴染んで、
その画家さん特有の色とか配色センスが出来上がったんだな

というのが分かりました。

知識が増えていくと、
その物事の解釈の度合いが深まり
面白さが増しますね(`・ω・´)キリ

というわけで、色彩の基本知識の一つである
色彩調和論について掘下げていきたいと思います。

 

 

 

色彩調和論とは

色彩調和論は、2色以上の色の組み合わせが
バランス良く調和して見えるか、またその配色が
人々の感情や認識に与える影響について探求する分野です。

では、その歴史を見てみたいと思います。

色彩調和論・・・その歴史

1704年イングランドの物理学者ニュートンは著書「光学」で、

光はプリズム(分光器)を通すと7色に分かれる事を発表すると、
それ以降「色彩」は科学的に捉えられるようになった。

色彩のベースは自然科学という事ですね。
そりゃーロジカルな訳です。
感覚だけで配色するとチグハグになっていた理由が
コレで分かりました。(;´∀`)

 

1810年ドイツの詩人ゲーテは著書『色彩論』で、
色彩は心理的なものであるとして、科学的に捉える事を批判した。

19世紀以降、「色彩」は本格的な研究が行われるようになる。

☆シュブルールの色彩理論

1839年フランスの科学者シュブルールが著書
『色彩の同時対比の法則とこの法則に基づく配色について』で

色彩を「類似色の調和」と「対比の調和」という、
2つのグループに分類した。

余談ですが、この方、この時代に102歳まで生きたご長寿との事。
スゴイですね(;゚Д゚)

 

☆ルードの色彩調和論

1879年アメリカの自然科学者ルードは著書『現代色彩学』で
自然界の配色を基にした配色理論を発表した。

自然界では同じ色でも日向は黄みを帯び、日陰では青紫みを帯びて知覚され、
これらの自然界に近い配色を「ナチュラル・ハーモニー」と呼ぶ

こちらは風景画や具象画を描く時に、とても役立つ色彩論です。
例えばリンゴを描く時に、赤に淡い黄色を混ぜて塗ると、
自然な光を表現できますし、赤に青紫を混ぜて塗ると、
自然な影を表現できます。

☆オストワルトの色彩調和論

 

1918年ドイツの科学者オストワルトは著書『色彩の調和』で
同じ白黒混合比の色や、規則的な位置関係の色は調和すると説いた。

 

☆イッテンの色彩調和論

 

1961年スイスの芸術家イッテンは著書『色彩の芸術』で、
色相環上で幾何学的な関係にある色は調和すると説いた。

 

☆ジャッドの色彩理論

 

1955年アメリカの物理学者ジャッドは、
先人たちの色彩調和論をまとめ上げ
著書『4つの色彩調和論』を発表し、

これらを「ジャッドの4原理」と呼ぶ。

↓↓↓

ジャッドの4原理解説

秩序の原理

規則性のある配色は調和するという考え方の事

ダイアード配色
ダイアード配色

2色配色 ダイアード
色相環を2等分した反対の位置にある色を組み合わせた2色による配色
2色は補色の関係なので、お互いの色を引き立てる
ただし、高彩度な色の場合は、
コントラストが強すぎて不快感を与える事があるので注意。

 

スプリットコンプメタリー配色
スプリットコンプメタリー配色

分裂補色配色 スプリットコンプメンタリー
メインカラーと補色の両隣にある2色を組み合わせた配色
ダイアード配色より奇抜にならず、調和が取れた印象を与える事が出来る。

 

トライアド配色
トライアド配色

3色配色 トライアド
色相環を3等分した位置にある3色による配色
バランスが良く、明快で安定感がある。

 

テトラード配色
テトラード配色

4色配色 テトラード
色相環を4等分した位置にある4色でまとめた配色。
スクエアカラーとも呼ばれる。
2色の補色の組み合わせなので、カラフルで変化に満ちている。

ペンクタード配色
ペンクタード配色

5色配列 ペンタード
色相環を5等分した位置にある5色でまとめた配色。

トライアド+白黒 配色
トライアド+白黒 配色

もしくはトライアド(3色配色)に白と黒の2色を組み合わせた5色の配色。

色数が多いので賑やかな印象を与える。
そこに白と黒が加わると、都会的な印象になる。

共通性の原理

似た要素を持つ色同士の配色は調和するという考え方の事

ドミナントカラー
ドミナントとは「優勢な」とか「支配的な」という意味で、
同じ系統の色相を使って多色の配色に統一感を出す配色の事。
トーンは自由に選んで良い。

なじみの原理

自然界にある見慣れた配色は調和するという考え方の事

ナチュラルハーモニー

自然界の見え方に沿った自然な調和を演出できる配色。

自然光の下で葉っぱを見ると、
日光の当たる部分は黄みがかった緑に見え
日陰の部分は青みがかった緑に見える事。

 

グラデーション

虹や朝焼け・夕焼けなど自然の中に多く見られる、
一定の法則に従って、色を徐々に変化させながら
配列した多色配色の事。

明瞭性の原理

ハッキリした配色は調和するという考え方の事

トリコロール

フランス語で「3色の」という意味で、使う色数が決まっている配色の事。

色の境界線が曖昧ではなくハッキリしている事が大切。

 

 

アクセントカラー

対照的な色で目を引くポイントを作る配色の事。

アクセントカラーは、使う面積を小さく絞り、
ベースカラーとの差がある方が目立ちやすく、
特に高彩度のトーンが効果的。

まとめ

今回は、色彩の基礎知識の一つ
『色彩調和論』について解説してきました。
いかがでしたでしょうか?

今はネットを探せば
無料の配色ツールなどがありますが、
その基礎になるものを知っておくと、
応用ができますので、

こういった知識を知っておいても損はないかと。。

または、ご自身の作品制作の時などに
お役立ち頂ければ幸いです。

それではまた。
次の記事でお会いしましょう(^o^)丿